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2024/02/13 17:21
3.11の一夜
2011年3月11日、震災で被災した親族と共に電気のない部屋で過ごした一夜。
コタツで足を重ね、石油ストーブで暖まりながら励まし合い、語り合った。
翌朝、お互いのススだらけの顔を見て笑いあった。
その一夜での家族との食事と会話を通じて、生きることの本質を感じた。
二代目の苦悩
苦労して育ててくれた両親への恩返しとして、父親の跡を継ぐことを決めた。
5年間の修行後、父親の会社「株式会社サンライズエンジニアリング」に入社。
帰ってきて見えた世界(会社の実情)は、唖然とすることばかり。
指摘・改善することだらけで途方に暮れる日々。
変化を恐れ反発する社員たち。
「俺の会社をどうする気だ」と反対する父親。
しかし、社内改革に挑み続ける中で、会社の中身が変わっていき、社会に評価されはじめ、社員たちも自身をつけ、徐々に社内は変わっていった。
社長に就任してから
社長に就任するも、今後の会社の未来、自分の人生について悩む日々が続いた。
もう少し壁を越えたら立派な職人になると思っていても、惜しいところで去ってしまう社員。
人材が集まらず、苦悩する日々。
売上の数字、景気に左右される仕事、低コストで短納期な仕事、社員育成とモチベーション維持、
数えればキリがないほどの重圧・・・。
全ての点が繋がった
気分転換にと誘われたキャンプが、転機だった。
震災で経験した、食事と会話の温かさがそこにもあった。
会社を立て直すためのオリジナル製品の開発、若手のモチベーション醸成、全ての点が線に繋がった。
金型製造で培った技術を活かし、キャンプや野遊びの楽しさを伝えるのが自分の使命だと確信した。
たった2人からのスタート
順風満帆とはいかなかった。
協力者は熟練の職人ただひとり。
全くやったことが無い仕事に戸惑いながら、ひたすら図面を描き、夢中になって試行錯誤を繰り返した。
薪ストーブ25台以上の試作
ブランドの象徴である薪ストーブ「不死鳥」の出来に納得がいかず、10か月以上試行錯誤を繰り返した。
試作は25台以上にも及んだ。
朝早くから会社で薪を燃やす日々。
青森という極寒の地でのフィールドテストで、何度も何度も打ちのめされた。
毎日がススだらけで、発足日が半年遅れた。
こうして完成した薪ストーブは、ストーブの中で火の鳥が踊って見える様から「不死鳥」と名付けられた。
ブランド名である「Phoenixrise」も、これが由来となった。
2020年10月 アウトドアブランド「Phoenixrise」発足。
災害時に役立てて欲しい
フェニックスライズの基本理念は、防災意識の高揚と外遊びの楽しさを伝えること。
フェニックスライズの製品を傍らに置いて、災害時に役立ててほしい。
また、現代に生きる人々にとって希薄になりがちな、家族や仲間との会話や食事を、火を囲みながら楽しんでほしい。
そのため、フェニックスライズの製品には、火に関連するもの、収納しやすいものが多い。
これらを、今まで培った技術と経験と情熱で作り続け、伝え続けていくことが、私の使命であり生きがいである。
そして何より、自分と社員たちが楽しんで製品を作り続けていきたいと私は考える。
それが、変わらない信念です。